商標の基本的な働き

アパレル業界で成功を収めるには、品質はもちろんのこと、センスやトレンド、それから「ブランド」が重要な要素になると思います。

「ブランド」という言葉の意味や定義は、あいまいであると言われることがあります。
それは、おそらく、人によって「ブランド」という言葉の使い方や捉えている意味合いが異なっているからだと思います。
私見では、「ブランド」は、「商標」とほぼ同じ意味合いで捉えています。

そこで、ここでは、「ブランド」=「商標」という前提で、商標の基本的な働きをお伝えします。

商標とは何か?

商標は、ブランド名やロゴマークです。
シャツ、パンツ、ジャケットなどの衣服の場合、商標は、商品のタグなどに表示されていることが多いかもしれません。
商標は、数あるアパレル事業者の中から、その商品を提供しているアパレル事業者を区別する目印なのです。

商標の働き

商標が商品の提供者を区別する目印と述べましたが、これが商標の最も基本的で重要な働きです。
この働きは、先程は「区別」という言葉を使いましたが、提供者を「識別」するという言い方もでき、我々弁理士や商標の関係者は、商標のこの「区別」する働きのことを「識別機能」と呼んでいます。
また、商標がこのように事業者を区別できる場合、その商標は「識別力」がある、というような表現をすることもあります。

これまで述べましたように、商標が事業者を識別する働きをすることから、商標には、さらに次の3つの働きがあると言われています。

1.出所表示機能

「出所表示機能」は、商標が、商品の提供者を表す働きのことです。
先程述べた「識別機能」と紛らわしいのですが、「識別機能」はA社とB社を区別する働きで、「出所表示機能」は商品の提供者がA社であることを表す働きです。
といっても、「A社」というように具体的で正確な企業名までは出てこなくても、「ああ、あそこの商品なんだな。」という程度にわかるようにしているのが「出所表示機能」です。

2.品質保証機能

同じ商標が付いている商品は、皆同じような品質の商品であると期待させる働きです。
商標に品質保証機能があることによって、「半年前に買ったシャツがとても良かったから、今度は、同じ商標が付いているコートを買ってみよう。」というようにリピート購入につながります。

3.広告宣伝機能

商標そのものに愛着や好印象を持たれて、商標自体にファンができることがあります。
このような状態になると、とにかく、その商標が付いているだけで、お客様の購買意欲を高めることができたり、高単価でも売れるようになります。
これが商標の「広告宣伝機能」です。

まとめ

以上、商標の働きを説明してきました。
まず、商標には最も基本となる「識別機能」があり、「識別機能」があることを前提に「出所表示機能」、「品質保証機能」及び「広告宣伝機能」があります。
これらの商標の機能は、それぞれ密接に絡み合って、企業イメージや信用に大きな影響を与えます。
そのため、商標を大切に育てて守っていくことが、アパレル業界においても非常に重要になると考えます。
ちなみに、このような商標の働きを考えていくと、「商標」が「ブランド」と同じような意味合いであると思えてきませんか?

2021年01月20日