商標登録の手続の流れ

商標登録は、特許庁に商標を登録することです。
では、特許庁に商標を登録するためには、どのような手続を行う必要があるのか?
ここでは、商標登録を行うための手続の流れや、その前後で行うべきこと、注意点などをご説明します。

商標登録の手続の全体像

まずは、ざっくりと商標登録のための手続の全体を示します。
とてもシンプルにすると以下のような流れになります。

1.特許庁へ商標登録出願をする
2.特許庁によって審査が行われる
3.特許庁に商標登録料を納付する
4.特許庁に商標登録される
5.特許庁に商標登録の更新登録料を納付する

以下、補足しながら、もう少し詳しくはご説明していきます。

事前準備の商標調査

商標登録の手続とはいえませんが、商標登録出願の前に行っておきたいのが商標調査です。

商標調査は、商標のデータベースを検索するなどして、商標登録をしようとしている商標が特許庁の審査に通るかどうか調べることです。
言ってみれば、商標登録の手続を行うまえの下調べのようなものです。

商標調査の詳細は、「商標登録の事前準備の商標調査」の記事をご参照ください。

商標登録出願

商標登録出願は、商標登録をするために行う特許庁への最初の手続になります。
ちなみに、正式には「商標登録出願」といいますが、単に「商標出願」と言ったり、人によっては「商標申請」と呼ぶ方もいます。

商標登録出願は、「商標登録願」という願書を作成して、特許庁に提出する手続です。

商標登録願には、主に、次のようなことを記載します。

・商標登録をしたい商標
・商標登録をしたい商標を使う商品・サービス(「指定商品・指定役務」と呼びます)
・商標登録をしようとしている個人又は法人(「商標登録出願人」と呼びます)の名称(個人の場合は氏名、会社など法人の場合は会社名などの法人名)
・商標登録出願人の住所

商標登録出願人の名称や住所は形式的なもので、あまり問題になることはありません。

商標登録をしたい商標は、非常に重要な項目ですが、比較的に間違いにくい項目です。

指定商品・指定役務は、商標登録に慣れていない方が、間違えやすい項目です。
アパレルブランドを商標登録する場合は比較的にシンプルで、指定商品として、ジャケット、ズボン、スカート、ポロシャツ、スニーカーなどのように具体的に商品の名称を記載したり、洋服、被服、履物といったように大きなくくりの名称を記載することができます。

願書の作成が完了したら、次は、作成した願書を特許庁に提出します。

願書の特許庁への提出は、特許庁の窓口で手渡ししたり、郵送で行うこともできますが、オンラインで提出することもできます。
弁理士が手続を行う場合は、オンラインで行うのが普通であると思います。

特許庁の商標審査

特許庁に商標登録出願を行うと、特許庁が提出された商標登録願を審査します。
審査されるのは、主に、商標登録をしたい商標と指定商品・指定役務ですが、やはり審査の中心は、商標登録をしたい商標です。
特に、その商標が指定商品・指定役務の一般的な名称でないかどうかや、既に登録されている商標と同じような商標でないかどうか、ということが審査されます。

特許庁の商標審査にかかる時間について、商標1件を審査するのに、それ程多くの時間は使っていないと思いますが、商標登録出願を行ってから特許庁の審査結果が出るまでには、結構な時間がかかります。
記憶では2016年頃は4ケ月ほどで審査結果が出ていたのですが、段々を遅くなってきて、2019年あたりからは、早くて6ケ月、普通に12ケ月ほどかかっています。

特許庁の審査に通ると、「登録査定」という書類が特許庁から送られてきます。

一方、特許庁の審査に通らない場合は、まず「拒絶理由通知書」という書類が送られてきます。
拒絶理由通知書には、出願された商標が、特許庁の審査になぜ通らなかったのか、その理由が書かれています。
拒絶理由通知書を受け取った場合は、拒絶理由通知書に反論する手続や願書を訂正する手続で対応することもできますし、あるいは、この時点で商標登録をあきらめるという選択肢をとる場合もあります。

商標登録料の納付

特許庁の商標審査に通って、登録査定を受け取ると、次は、特許庁に商標登録料を納めます。

商標登録料を納める期限が決まっていますので、期限内に納めるよう注意が必要です。

商標登録は10年単位で行うのが基本ですので、基本は、10年分の商標登録料を特許庁に納付します。

ライフサイクルが短い商品やサービスの場合、10年も商標登録は必要ないというニーズもあるので、商標登録料を5年分ごとに納付する制度もあります。
アパレルブランドの場合、まずは5年で様子を見るという判断もあろうかと思います。
ただし、5年分の商標登録料の納付を2回以上行って、商標登録を10年以上維持する場合、5年納付はかなり割高になりますので、5年納付を選択される際は十分な注意が必要です。

特許庁に商標登録

特許庁に商標登録料を納めると、ついに出願した商標が特許庁に商標登録されます。

商標登録の内容は、特許庁に備えられている「商標原簿」というものに記録されます。

また、商標登録出願人は、「商標登録証」という賞状のような書類を受け取ることができます。
ちなみに、商標登録証は、権利書のように、商標の権利(商標権)を持っていることの証になるものではありません。
商標登録の内容や商標権の所在などの正式・正確な情報は、商標登録証ではなく、商標原簿に登録されている情報になります。

商標登録は、商標登録料を10年分納付した場合は、商標登録された日から10年間維持され、後述するように、何回でも更新を行うことができます。

更新登録料の納付

商標登録の手続ということであれば、前の項の「特許庁に商標登録」で手続は完了です。

しかし、商標登録された後のことも簡単に触れておきます。

前述の通り、10年分の商標登録料を納めた場合、商標登録は10年間維持されます。

それ以上商標登録が必要ない場合は、何もしないで放置していれば、10年間経過すると商標登録は消滅します。

一方、さらに商標登録を維持したい場合は、特許庁に更新登録料を納付します。
更新登録料の納付は、10年間が経過する前の半年の間に行うことができます。
つまり、更新登録料は、納付期限がありますが、逆に、あまり早過ぎるタイミングでも納付できないことになっています。

商標登録の更新は、何回でもできますので、商標登録を半永久的に維持することも可能です。

2021年01月28日