アパレルブランドの商標登録の費用

アパレルのブランドを商標登録するとして、その費用は、どれ位の金額になるのか?
ここでは、アパレルブランドを商標登録する場合の費用と費用に関する注意点をご説明します。

商標登録の費用の種類の内訳

まずは、商標登録にかかるコストの種類の内訳をご説明します。

商標登録は、商標を特許庁に登録することですので、特許庁に支払う費用があります。
特許庁に払う費用は、特許印紙という種類の印紙で支払うことが多いので、よく「印紙代」と呼ばれています。

もし、商標登録の手続を弁理士に依頼する場合は、弁理士に支払う報酬があります。
弁理士への報酬は、手続を行う手数料であったり、成功報酬であったりします。
ちなみに、商標登録をするためには、特許庁の審査に通る必要がありますので、審査に通ったら成功報酬が発生します。

また、弁理士報酬には消費税がかかります。
印紙代には消費税はかかりません。

当然のことながら、印紙代は、どの弁理士に依頼しても、あるいは、ご自身で商標登録の手続をされる場合でも、同じ金額になります。
(ただし、特許庁は、オンライン化・ペーパーレス化を推進していますので、特許庁への手続はオンラインで行えるものが多く、オンラインで行える手続を書面で行う場合は、別途、「電子化手数料」という費用が発生することがあります。)

弁理士報酬は、弁理士ごとに異なる料金設定をしていますので、弁理士によって金額が異なります。

商標登録の手続の段階別の費用の内訳

商標登録出願時の費用

商標登録をするためには、最初に商標登録出願という手続をします。
これは、願書を作成して、特許庁に提出する手続になります。

商標登録出願の印紙代は、次のように計算されます。

¥3,400+¥8,600×区分の数

願書には、商標登録を希望する商標と、その商標を使う商品・サービスを記載します。
商品・サービスは、45通りの「区分」に分類されていますので、上記計算式の「区分の数」とは、商品・サービスの区分がいくつになるかということです。

例えば、アパレルブランドを商標登録する場合、基本は、商品は衣料品になりますので、第25類という区分1つになります。
この場合、印紙代は、¥3,400+¥8,600×1=¥12,000となります。

商品が衣料品だけでなく、バッグや財布もある場合、バッグや財布の区分は第18類になりますので、第25類と第18類という2つの区分が必要になります。
そして、印紙代は、¥3,400+¥8,600×2=¥20,600になります。

願書の作成と提出の手数料として、弁理士報酬が発生します。

弁理士報酬は、弁理士・事務所によって金額が異なりますが、印紙代と同様に、区分の数が増えるほど報酬金額が高くなるのが一般的です。

ちなみに、弊所の商標登録出願の弁理士報酬は、次のように計算しています。

¥30,000+¥20,000×区分の数(税別)

区分が1つの場合は¥50,000(税別)、2つになると¥70,000(税別)になります。

商標登録出願のトータルの費用は、上述の印紙代と弁理士報酬の合計にありますので、区分が1つの場合は¥62,000(税別)となります。

商標登録時の費用

商標登録出願を行って、無事、特許庁の審査に通ると、特許庁に納める登録料(印紙代)と弁理士の成功報酬が発生します。

登録料の印紙代は、次のように計算されます。

¥28,200×区分の数

¥28,200は、商標登録を10年行う場合の登録料です。
これが基本になりますが、商品のライフサイクルが短いなど10年間も商標登録が必要ないと考えられる場合は5年分の登録料を納めることもできます。
5年分の登録料は、¥16,400×区分の数 で計算されます。
5年分の登録料の方が割高です。

弁理士の成功報酬は、区分の数が増えるほど報酬金額が高くなるのが一般的です。

しかし、弊所の成功報酬は、区分の数にかかわらず、¥50,000(税別)としています。

したがいまして、アパレルブランドを衣料品の商品区分1つで商標登録する場合の登録料と成功報酬の合計は、¥78,200(税別)となります。

なお、特許庁の審査に通らなかった場合は、商標登録時の費用は、印紙代も弁理士報酬も発生しません。

商標登録出願から商標登録までのトータルの費用

商標登録出願から商標登録までのトータルの費用は、商標登録出願時の費用と商標登録時の費用の合計になります。

そのため、弊所の場合、区分が1つの場合は、¥140,200(税別)、区分が2つの場合は、¥197,000(税別)になります。

追加で発生する可能性のある費用

これまでご説明してきた費用は、特許庁の審査にすんなりと通った場合の金額です。
特許庁の審査にすんなり通らない場合は、以下で説明する追加の費用が発生します。

特許庁の審査にすんなりと通らない場合、特許庁より「拒絶理由通知書」という書類が届きます。
拒絶理由通知書には、出願した商標が審査に通らない理由が書かれています。

拒絶理由通知書が来ても、その後の対応次第では、商標登録できる可能性があります。

拒絶理由通知書への対応としては、(1)「意見書」という書類を提出して、拒絶理由通知書に反論をして、出願した商標は登録されるべきと主張したり、(2)「手続補正書」という書類を提出して、願書に記載した商品やサービスの記載を修正したりします。

案件によって、意見書と手続補正書の両方が必要になる場合や、いずれか一方で足りる場合があります。

意見書も手続補正書についても印紙代は、原則としてかかりませんので、弁理士報酬のみが発生します。

意見書も手続補正書も、弁理士報酬は、区分の数が増えるほど金額が高くなるケースが多いですが、弊所では、以下のように、区分の数に関係なく一律の金額にしています。

意見書作成・提出手数料   ¥50,000(税別)
手続補正書作成・提出手数料 ¥10,000(税別)

商標登録の費用は、ここまで考えておくべき!!

ここまで、商標登録をするまでの費用について述べてきました。
ですので、これまでご説明してきた金額で商標登録をすることが可能です。

しかし、以下にご説明することも、予め、十分検討されておくことが得策です。

5年後か10年後の話になりますが、商標登録を更新する際の費用のことです。

商標登録を更新する場合には、更新登録料の印紙代と更新登録料を特許庁に納める弁理士の手数料が発生します。

商標登録時の費用のところでも述べましたが、商標登録は10年単位で行うのが基本です。

商標登録時に10年分の登録料を納付していて、11年目以降も商標登録を維持したい場合は、10年後に更新が必要です。
更新のときに、10年更新するための更新登録料を納めることもできますし、5年分の更新登録料を納めることも選択できます。

商標登録時に5年分の登録料を納付していて、6年目以降も商標登録を維持したい場合は、5年後に後半の5年分の登録料を納付することが必要です。

10年分の更新登録料の印紙代は、次のように計算されます。

¥38,800×区分の数

5年分の更新登録料の印紙代は、次のように計算されます。

¥22,600×区分の数

最初に商標登録をするときの登録料よりも更新登録料の方が高くなっています。
また、最初の商標登録料の場合と同様に、5年分の更新登録料は、10年分の更新登録料よりも割高です。

更新登録料の印紙代に加えて、更新登録料を納付する弁理士の手数料が発生します。

弁理士の更新手数料も区分の数に応じて金額が高くなることが多くなっていますが、弊所では、区分の数に関係なく一律¥10,000(税別)としています。

意外と知られていないと思うのですが、弁理士の更新手数料は、予め、よくご検討されておくべきです。

上述のように、商標登録時や更新時に、10年分の(更新)登録料か5年分の(更新)登録料を選ぶことができます。

10年分の(更新)登録料を納める場合は、弁理士の更新手数料は、10年に1回で済みます。

一方、5年分の(更新)登録料を納める場合は、弁理士の更新手数料は、5年に1回発生します。

つまり、5年分の(更新)登録料は、10年分の(更新)登録料に比べて印紙代が割高であるのに加え、弁理士の更新手数料が2倍かかるのです。
この点は、よくご確認をされる方が良いと思います。

まとめ

商標登録の費用は、印紙代と弁理士報酬(弁理士報酬には税金がかかります)です。

商標登録の費用は、商標登録の手続をするごとに発生します。

商標登録の費用は、商標登録を更新するときの金額も予めお考えになっておくと良いです。

2021年01月29日