商標登録のメリット
アパレル業界においてブランドは、重要な経営資産になると思います。
そのため、アパレル関係の企業の多くは、自社のブランドを商標登録することでブランドを守っています。
アパレルブランドを商標登録するメリットについて、ご説明します。
商標登録の効果
なぜブランドを商標登録で守れるのか、ということを考えるにあたっては、まず、商標登録の効果を知る必要があります。
商標登録は、商標(ブランド)を特許庁に登録することですが、商標に加えて、その商標をどのような商品・サービスに使うのかということも登録されます。
この商品・サービスを「指定商品・指定役務」と呼んでいます(役務はサービスのことです)。
アパレル事業者の皆様の場合、指定商品は、洋服、コート、スーツ、ズボン、スカート、ブラウスなどの被服になります。
商標登録の効果は、登録した商標を指定商品・指定役務に独占的に使用することができるようになることです。
商標登録をした自社が、その商標を独占使用できるということは、他社は、その商標を指定商品・指定役務には使えなくなることを意味します。
アパレル事業者様の場合は、指定商品を被服などとして商標登録をした場合、その商標を同業他社などに被服について使われることを防ぐことができるのです。
少し補足をすると、商標登録をした商標と全く同じ同一の商標を同業他社に使われないようになるだけではなく、類似の商標を使わせないようにすることもできます。
商標登録には、このような効果がありますので、自社ブランドが人気が出てきたと思ったら、同業他社にマネされて似たようなブランドの商品を発売されてしまったというときに、その商品の販売の中止などを法的に請求することができるようになるのです。
つまり、商標登録には、他社にブランドをマネされるのを防ぐという効果があるのです。
ちなみに、マネされるというのは、自社ブランドのことを知っている他社が意図的に自社ブランドと同じようなブランドを使い始めることですが、商標登録の効果は、このようなマネの場合だけではなく、他社が偶然知らずに自社ブランドと同じようなブランドを使い始めた場合にも有効です。
忘れてはいけない商標登録のもう1つの効果
商標登録の基本的な効果は、上で述べた通り、登録商標を指定商品・指定役務に独占使用できることです。
この商標登録の基本的な効果を別の見方をすると、次のようなことがいえます。
商標登録の基本的な効果は、自社ブランドを商標登録すれば、他社に自社ブランドと同じようなブランドを使わせないようにすることができるのですが、これは、自社が商標登録をした場合の見方です。
これに対し、自社が商標登録をしていなくて、他社が商標登録している場合で考えると、他社の登録商標と同じようなブランドを自社が使えなくなるということです。
つまり、自社のブランドを商標登録していないうちに、他社に同じような商標を登録されてしまうと、自社ブランドが使えなくなるのです。
ちなみに、商標登録は、「早い者勝ち」の仕組みになっているので、先に特許庁に商標登録出願(商標申請)した者が優先されます。
そのため、自社ブランドを同じような商標を先に他社に商標登録出願されてしまうと、原則として、自社ブランドを商標登録することもできなくなるのです。
このように、商標登録の基本的な効果は、見方を変えると、自社ブランドが使えなくなってしまうのを防ぎ、自社ブランドを安全に使えるようにするという効果もあるのです。
まとめ
商標登録の効果は、登録商標を指定商品・指定役務に独占使用できるようになることです。
そして、この効果は、(1)自社ブランドと同じようなブランドを他社に使われるのを防ぎ、(2)自社ブランドが使えなくなってしまうのを防ぐ、という2つの大きなメリットにつながります。
商標登録をするためにはコストもかかりますが、商標登録の効果を考えると、アパレルブランドに商標登録は必須かもしれません。